大きすぎて最早家とは呼べなく、守護者も住み込みホームとなりつつある我が家という名の城。
中は上品に白で統一されたおり俺の妻ことが好きなアンティークが所々に置いてある。
城は俺が設計したが内装は全部がし、センスの良さが出ていた。
そして何よりこの広い城に無駄に家具が無くそれ、でいて必要な所に必要なだけの物が配置してある。
いわく「唯高いものがあればいいというのもじゃない」らしい。
確かに。

何処だったか、同盟ファミリーに招かれ行った時はそれはそれは酷いもので、物は値の張るものばかりだが、多すぎてグチャグチャしておりどこもかしこも金金金。
あれには参った。
とんだ勘違い野郎だ。
護衛に連れて来ていた恭弥ですら眉を顰めていた。
仕舞いには「噛み殺す」と呟く程だった。
ま、流石に実行はしなかったけど。



そんな我が家の一角、俺との部屋で今俺は書類と睨めっこしていた。
ふと目に止まったのは、薔薇があしらってあるアンティークソファー。
このソファーはが気に入って買ったもので、何時も2人でアフタヌーンティーに使っている。
今日もはこのソファーで俺の仕事を手伝いつつ待っていたのだろう。
だが最近仕事が多忙だった為か、まるでソファーに崩れ落ちたかのように横になっていた。
俺はため息を吐き、ソファーに行き上着をかけてやる。
崩れ落ちたかのように横になるのはの悪い癖。
と言うか唯限界まで仕事をして気を失ってしまうのだが。
気づけばそれが日常茶飯事になってしまっていた。
いくら言っても止めないし、無理やり止めようとしても俺がいない間にやっていたりする。

此間、最終手段として24時間離れずいようといたが、何処で漏れたのかバレバレで・・・俺の名前を呼んでくれなくなり、尚且つボンゴレボスと秘かに重圧をかけてきた。
そして止めとばかりに

「前から如何しても欲しい宝石があったんだけど・・・収入源がね?」

まさに鶴の一声で、それを聞いた俺は馬車馬の如く働いて働いて宝石をプレゼントした。
因みにいつも物を強請らないが欲しがった宝石は確かに国がいくつか買えるほど高かった。
だが一日ぐらい仕事を休んでも買える程度だったのだが、は俺が一日ベッタリすると数日・・・もっと酷いときは1ヶ月離れられなくなることを危惧していたのだろう。
ま、何年も一緒にいるけど未だに俺はに骨抜きだから、正にその通り。



この可愛いの寝顔を見ると、あの頃の出来事を思い出す。
如何しようもなく憔悴し、やり切れない思い。
辛く苦しく、未だに俺とに暗く影を落とす思い出。
一生忘れようもなく、二度とあんな思いはしたくない事件だった。
皮肉にもその事件が俺達を結ぶきっかけになったのだが。
Cristallo di rocca