「Trick or treat」
「え?」
「抱きしめないとピーしちゃうぞ★」
「うぇぇぇぇぇ!?普通、お菓子くれないと悪戯しちゃうぞだよね? 抱きしめてとかピ、ピーって、 もう何処をどう突っ込んだらいいか分かんないよ!!」

赤くなったり青くなったりと世話しないツナが可笑しくて、 あはははとお腹を抱えて笑った。
それにしてもツナ、突っ込めないとか言いつつしっかり突っ込んでるから。
相変わらず、真面目っていうか妙なとこで器用というか。
これでこそツナ、いい反応に突っ込み。
からかいがあるってもん、なんだけどさ・・・。
そこまで真っ青になられると、こうね。
ちゃんもちょ〜とばかし本気でしたくなったちゃうよ。

「残ね〜ん。私は普通じゃありませんでした!」
「っそうだった!!」
「ツナが一番身にしみてるでしょ?」
「うう」
「ほらほら、早くしないと・・・私は有限実行の女だよ?」
「え、全然有限実行してないよね? 此間だって映画見ようって言っときながら結局買い物に付き合わされたし」
「女は気まぐれなのさ〜!」
「さっき間があったし、咄嗟に考えたんでしょう?」
「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」

いつもの様にのらりくらりと、 かわしてやるとこれまたいつもどうり渋い顔で黙りこむ。

「ささ、早くしないとズキュンしやうぞ★」
「ピーじゃなかったのかよ!」
「ん、ツナはピーの方がお好みだった?」
「ちっ違!!」

茹蛸の様に真っ赤になるツナはやっぱり可愛らしい。
ああ、やっぱり私が可愛がって進ぜよう!
肩をガッシと掴もうとすると、反対にツナに手首を掴まれてしまった。
あれ?ツナってこういうことできったけ?
それに力も・・・。
振りほどこうにも振りほどけない力で掴まれていて、 目を丸くしてツナを見た。

「分かった」
「え?」

真っ赤になりながらも真剣な表情になるもんだからドキッとして目が離せなくって、 次の瞬間にはさっきまであったツナの顔じゃなく目の前がオレンジ一色に変わっていた。

トクントクンと安心する音。
嗅ぎ慣れた匂い。
包み込む様な温かさ。

一瞬の出来事だったのに、私にはとても長く感じられた。
温もりが放れていった後、 頭が回らなくなっていた私はボーとツナを見上げた。

「こ、これでいいんだよね!」

今の私に言葉なんて出るはずもなく、こくんと首を縦に振った。
ボッと火が出るんじゃないかと今日一番顔を真っ赤にして、 うっと呻き声を出して猛ダッシュして逃げていった。
どうして呻き声を出して逃げていったんだろうと首を傾げ、 痛かった分けではないけれど、 掴まれた手首を擦りながら見えなくなったツナの後姿をぼんやりと見つめ、 秘かに頬を染めた。
トリック・オア・トリート!
(反応しただろう)(うわぁ、何で知ってんだよ)(ツナも男だかんなー)