Anger reached the peak
「 」
彼は何と口走ったのだろうか。
聞こえなかった、私は聞こえなかった。
「結婚して下さい」
何て聞こえなかった。
・・・!?
耳元で聞こえてきた声と吐息に飛び上がり、声にならない悲鳴をあげて白馬から離れようとするが
がっしりと掴まれていて、
まるで逃げられると言うことを知っていたみたいにピクリとも動かない。
・・・白馬君は有名だから友達との話題で出てくるし、
今日約束している友達がファンだから私もある程度・・・
結構色々と知っているんだけど、
白馬君は・・・私のこと知らないわよね。
なんせ私達は殆ど喋ったことないのだし。
なのにいきなり家に訪ねてきたと思ったら、け、結婚!?
好きや付き合う云々を1つどころか2つ3つぐらい飛び越えてるよ!
・・・
う〜ん、冷静になってみても彼氏いない歴十数年の私にはかなり縁のない話だし、今まで考えたことない。
今考えてみても「無理」としか言いようがない。
いや、白馬君のキラキラした目を目の前に「無理です」なんて言えない。
言えないよ!
私は無邪気な子供の夢は壊せないよ!!
白馬君は見た目無邪気じゃないし子供でもないけど、私にはそう見えてしょうがない。
だって今の白馬君・・・変態と言ってもギリギリOKな程凄いことになっているだもん。
あ〜詳しくどうなっているかは、ちょっと恐ろしくて言えないのだけど、本当に凄い。
周りにいたお姉さんとかが「ヒー変態」って言って逃げたり、
100当番している人もチラホラ見えたり見えなかったり。
うん、これは夢だ。
友達との約束に遅れる夢に白馬君がうっかり特別出演してしまっただけなんだ。
夢夢夢。
「さん」
「キャー」
耳元どころか耳を甘噛みしているんじゃないと思うほど傍で囁かれれば、
悲鳴をあげてきゅうしょうを蹴ってしまうのは致し方ないと思う。
あっ白馬君白目剥いてピクピクしているけど、これは正当防衛よね?
大丈夫、よね?
何時になっても復活しない白馬がちょっと心配になり近寄ると、
折角逃れられた手にまた捕まってしまう。
やっぱり顔が近い。
綺麗な顔だけど、私の周りには美形が多いため、平気だった。
ただし、この抱き締められているという状態は非常にやばい。
それだけではなく、さっきから朗々と紡がれるくさい言葉たち。
駄目だ、恥かし過ぎて爆死しそう。
「ああさん、そんなに喜んでくれるんですね。
では早速私と海を超えて2人で住む新居まで行きましょう!」
憤死寸前の私はピクピクとしていると、何を勘違いしたのか彼が特大の爆弾を投下した。
何か勝手に話が進んでるし、海外に拉致する気満々!?
もう何処をどう突っ込んでいいか分からない。
私にどういう反応を求めているのかこの男は。
分かってるけどね。
私は求められている答えは持ち合わせてない。
少し申し訳なくしょんぼりする。
「どうしたんですか?ああ、飛行機が怖いんですね。大丈夫です僕が付いてます」
高所恐怖症でもなんでもないから、付いていなくていいです!!
空気を読めないしろうまさん
2008,03,23