「鳳珠・・・仮面して」
「・・・・・・・・・」
「何故だ。お前は私の顔を見ても大丈夫だろ?」
「ふふふ。。あなたの顔なんかどうでも良いのよ。仮面よ。か・め・ん。」
とは笑顔で毒を吐き、仮面を差し出していた。
(久々に許婚者に会えたというのに。開口一番にそれか)
そして何より顔を気に入っていると思っていたので困惑気味だ。
(そういえば、仮面をしている時は何かを堪えているようだったが…まさか)
「変な顔してないで、早く!!」
はもう待てないとばかりに急かす。
その急かし方に不安を覚えつつは仮面を受け取り…
「もしかして・・・」
「気づいてしまったのね。」
(はあー。やはりそうなのか。気絶するのを耐えていたのか。)
「私が仮面愛好家だってことに」
「何!!」
その言葉に仮面を落としてしまった。
と思ったが、途中でがきっちり受け止めていた。
「ちょっと。仮面落とさないでよ。」
「ああ」
もう何に驚いていいのか分からなかった。
「仮面は――――――――――――」
はというと鳳珠の事はお構い無しとばかりにキラキラと目を輝かせて意気揚々と
如何して仮面は素敵か、仮面の何処が良いなどの
訳の分からない事を語り始めてしまった。仕舞いには
「仮面最高ー!!!!!」
と叫び暴れる始末。
数刻後
今までの暴走が嘘の様に、は淡々と
「と言う事で、私仮面をしてくれないのなら鳳珠とは結婚しないわ。」
の目は真剣で、ここで断れば≪結婚どころか一生会わないぞ≫と言っていた。
「!!!!!!!!!!!!!」
今回は勢いだけじゃない様子に鳳珠は焦っていた。
「それは困る!!」
(難攻不落だったをやっと手に入れたのだから。そうやすやすと手放す気はない。)
言葉を発して落ち着いたのか、決意したように
「分かった。ずっと仮面をしていれば良いのか?」
「いいえ。ずっとしていたら私悶絶してしまうわ。黎兄様みたく。」
とは微笑し
「私は其れでも良いけどね」
と小さく呟いていた。しかし鳳珠には最後の言葉は聞こえなかったようだ。
黎兄と聞いて眉を顰めた鳳珠を見たは口の端を上げ
「一日一回見せて頂戴。つまり屋敷に帰ってきた時にでも、見せてくれれば良いのよ。簡単でしょう?」
と穏やかに笑っていた。今までの暴走はこの事を言う為に計算していた事だった。
鳳珠は素直ではないの、言いたい事を正確に汲みとり
(…それは、結婚承諾するということか。)
鳳珠はフッと笑い
「良いだろう。約束だ。だがもう私はおまえを一生手放す気はない。覚悟しておけ。」
と囁き、約束の印として優しく口付けをした。