計画は成功した
……でもやっぱり素直にはなれなかった
本当は心の奥底で考えていた
「私の前では顔を隠さないで。本当は貴方の顔以外は興味ないのよ」
て言えたらどんなに楽か
そして貴方にとってもどんなによかったか
きっと無理だ
私は未だに鳳珠に言えない事がある
一旦素直になってしまえば、次から次えと言ってしまうだろう
私の汚く、醜い部分――――――――――――――
感情が抑えられなくなっていまったところを鳳珠には見られたくない
…………でもすでに仮面について暴走した姿を見られてしまった……
そんな私を鳳珠も少し引いてたみたいだけど、受け入れてくれた
流石、黎兄様の友達をやってるだけある
ふと思うことがある
私には―――――幸せになる資格はあるのだろうか
お兄様達は
≪人は皆、幸せになる権利がある≫
と言っていたが
本当に幸せになってもいいのだろうか
化け物のような力を持ち
お母様を狂わせてしまった私が…………
今でも幸せになることに躊躇いがある
そんな中
「好きだ」
と鳳珠は私に告げた
「好き」
と一言言われただけで涙が出るほど嬉しかった
私も鳳珠のことを愛していたから
同時に驚愕した
鳳珠は百合姫のことが好きだったはず……
それがどうしてと困惑した
今まで鳳珠と百合姫のこと応援していたのに……
しかし此処で浮かんだのは
『百合姫に振られてやけになっている』
という言葉だった
だって百合姫が
「こんな顔の隣で嫁やってられません」
こんな感じて言っていた所を偶然聞いた
その後、黎兄様と鳳珠を励ますのに大変だった記憶がある
きっと弱っているところに優しくしてあげたから
勘違いをしてしまったのだ
私がこんなことを悶々と考えていると
鳳珠は何かを察したのか
「百合姫には何もない。の相談をしていただけだ。出会ったときからだけを愛してる」
私は鳳珠と出会うために生まれてきたのかも
と思えるほどの殺し文句だった
そこまで言われても私は愛されているか
不安でどうしようもなかった
なぜならば
人の人生を狂わせるほどの強大な力――――――
私は今までそんな力に翻弄されながら生きてきたから
力に蝕まれていく心と体
幼いときの過ち
忘れてはいけない――――――希望という名の絶望
毎日が地獄だった日々
もともと乏しかった感情を捨てて人形になったあの日
私は何の躊躇いもなく人を殺した
赤く染まる手
だが何も感じない心
生まれたときから、逃れられぬ運命
深い深い闇に囚われていた昔の私
そう昔
いろんな人と合って少しずつ私は変っていった
そして貴方と出合って私は180度変わった
貴方は私に多くのものをくれた
でも忌まわしい過去は
…………どう足掻いても消えない―――――――
でもいつか全てを知っても貴方は私を受け入れてくれますか
きっと私は貴方に……拒絶されれば心が壊れてしまう
それを考えると、話せない―――――
だから一番気にしている顔のことを引き合いにだし
貴方の愛を試した
貴方はこんな私でも、受け入れてくれた
少なからず何かに気づいてたはずなのに
私はそんな貴方――――――鳳珠を信じてみようと思う
時期がきたら
全てを貴方に話すから
それまで待ってて
鳳珠―――――――