君が僕の全てだった
白い壁。白い天井。白いベット。白い空間。
白。白。白。
全てが白い部屋。
病室という名の檻。
この白い空間に一人の少女がいた。
透き通るような肌。感情のない顔。銀に光る髪。白い服。
その少女もまた白かった。
まるで生きていることを感じさせない――――
瞳。唯一色がある目は虚ろで、この世界を見ていなかった。
その目の色は漆黒―――――
黒。漆黒。光のない暗い場所。真っ黒な世界。
闇。闇。闇。
黒い空間が無限に広がる闇。
少女の心の中。
病室と正反対の空間。
底のない闇。
人々が何も無いこのただ暗い空間を『闇』と名づけ、闇を恐れ光を求めた。
僕は闇。誰かも『闇そのもの』のようだと言っていた。的を得ていた。
そう僕は闇そのもの。
母親は化け物と罵り蔑み狂っていった。
父親は「愛してる」と囁き僕に近づくものを滅多刺しにした。
回りの人々は恐怖し、僕を見ると発狂する者もしばしいた。
皆一緒だった。闇を怖がり、呑まれていく。
『闇そのもの』の僕は忌み嫌われていた。
でも僕はどんな扱いを受けようと何も感じなかった。
真の闇は何も感じないもの。
何故なら人間ではないから。
人間は真の闇にはなれない。
僕は人間じゃなっかた。
闇は僕。僕は闇。
君と出会うまでは
でも
僕は君と会って全てが変わった
闇が少し薄れて僕も人間なれた。
傍にいてほしいと初めて思えたのだ。
一緒にいるにつれ嬉しいと思えるようになった。
此れが僕の
感情というものを知った瞬間
でも気づかなかった。
この感情の意味に。
君がいなくなって気づいた。
気づいてしまえば簡単。
心から――――――
溢れ出した。
人としての感情。
一度出てしまえば
止め処なく溢れ出す。
好き、愛している
まだ知ったばかりの感情。
伝えたい言葉。
知ってほしい。
心に――――――――
愛の言葉、暖かい感情が。
支配する。
僕の心は囚われた。
闇しか知らなかった僕に
心に光が射した。
唐突だった。
闇以外のものが僕の心を占めっていく。
君の全てが
『愛おしい』。
囚われた心は急速に人間に近づいていた。
僕も如何していいか分からないほどに。
そして
僕は君と出合って人になった。
僕は始めてだったから・・・。
分からなかった。
些細な感情の表し方ですら。
何も。
なくして始めて分かった。
でも何もかも遅かった。
君はずっと一緒だと思っていた。
僕の考えは甘かった。
現実は残酷
ああ。
やぱっり僕は闇からは逃れられないのか。
僕の細やかな願いも叶わない。
この思いを君に伝えたい。
そんなとき聞いた。
嬉しくって
初めて涙を流した。
僕にとって
現実は残酷で
それでいて優しかった。
呪縛が解ければ・・・。
希望はまだある。
ザンザス――――――
会いたい。
声が聞きたい。
早く『』て呼んで
抱きしめてほしい。
希望を知り、貪欲になっていく。
贅沢な僕の願い。
それほど僕の中にザンザスがいる。
ザンザス以外のことを考えられない。
そんな強い感情を思い知った。
君に会えなくなってから。
君が僕の全てだった