Melancholy Mail
色とりどりのイルミネーションに賑やかな音楽。
クリスマス一色のイタリアの町並み。
いかにも急いでますと言う感じで早足のは、 派手派手しい光景を横目に鬱陶しそうにも見、ため息を吐く。

「何で外人はこんなに派手なのかな?」

両親はイタリア人だが日本生まれの日本育ちのにとって、イタリアの生活習慣には暫しついていけないところがあった。
それはイタリアに来て数年した今でもそうだった。

「う〜ん、此れを見るとボンゴレは意外に地味だよね。 ツナ達が日本人だからかな?」

とは言え、ボンゴレは落ち着いている色味の物が多いだけで、 家具自体はかなりの値打ちの物ばかりで金銭的に言うと派手だ。

「〜♪」

携帯の着信音が鳴り響く。
歩く足を止めず、携帯画面を見る。





Date : 20 December 18:24:02
From : 変態パイナッポー
Subject : 愛しい

喜んで下さい。 クリスマスに休暇がとれました!!
当日は車で迎えに行きますので、待ってて下さいね★
あ、服装はちゃんとミニスカのサンタのでお願いします。



Date : 20 December 18:24:13
From : 変態パイナッポー
Subject : ああ、ミニスカトナカイも捨て難いですね!

ああ、申し訳ありません。
クリスマスをどう過ごすか妄そ考えてて、
への愛を語るのを忘れてました。
白くて細いそそるあの足!!もう触りたくて堪ら





2件目の途中でミシミシと携帯が悲鳴をあげた。
は今にも壊れそうなほど携帯を握り締め、歩く速度を更に速める。
最早歩くというより走ると言った方が正しいだろう。
受信ボックスをよく確認すると変態から大量に、しかも毎秒ごとにきている。
毎秒ごとにメールを送るなんて普通は出来ないだろうに、変態とは恐ろしいものだ。
相手の名前を確認し、 受信ボックスに入りきらなくなる前にと1000件近くのメールを素早く全消去する。
その動作は手馴れたもので、これも何時もの事やりなのだろうという事が伺える。

「受信拒否しているのに・・・流石変態。この熱意を仕事に回して欲しいよ」

削除している間も走っていただが携帯を閉じると一気に速度を上げ道なき道、 屋根の上を走り次々と屋根から屋根に飛び乗って行く。










コンコン

「はいどうぞ」

大きなドアを押し出来た少しの隙間からスッと中に入る。
このドアは結構な重さで、ちゃんと開くだけで無駄な体力を使うのだ。
全部開けなくても入れるのだから、 無駄に体力を使ってまで開ける必要はないと私は思うのだが、 ツナや守護者達はちゃんと開けている様だ。
その証拠に部屋にいた者達は眉を顰めていた。

危ないからちゃんと入ってきなよ」
「危ない?此れくらいどって事ないでしょ?それに開けるだけで体力奪われてちゃ堪ったもんじゃないわ」

はあ、と溜息を吐くツナとは裏腹に、はそんな拘ることかなと首を傾げる。

「はは、今日も2人は面白のな」
「「別に面白くないから」」

笑う山本に対して出たよ天然っと二人揃って零す。
ふとドアの前に気配を感じ、ツナの方を見ると首を横に振る彼。
どうやら骸ではない様で警戒を解く。
ずっと会わない訳にはいかないが、少なくとも今は会いたくないと言うのがの心境。

ドタドタと足音と共に勢いよく開くドア。
この煩さは隼人かなと予測をつけつつ、未だにドア付近いたは素早く退く。

「十代目、例のやつがやっと届きました!!」

案の定、入ってきたのは獄寺。
何時もだったら絶対ノックしてから入ってくるのによほどの事なのだろう。
一人で妙に納得していると目に入るのは獄寺の手の上の物。

「隼人それ・・・」
「あ?来てたのか」
「うん」

獄寺のつっけんどんの態度にも気分を害することなく、 それが当たり前とばかりに対応する。
少し嬉しそうにしているのは獄寺が持っている物の為だろう。

「お前のも今届いたぜ。ほらよ」
「ありがとう隼人」

其処だけ違う雰囲気を醸し出している2人に、ツナは疎外感を感じていた。

「獄寺君って意外にには優しいよね。も獄寺君の事は呼び捨てだし」

近くにいた筈の山本に同意を求めたが返事はない。
不思議に思ったツナは、部屋を見渡すが彼はいなかった。
その代わり家庭教師の声が聞こえた。

「山本は仕事に向かったぞ。気づかねえなんて相変らず駄目ツナだな」
「駄目ツナって言うなよリボーン」

「獄寺との事だが仲いいのは当たり前だぞ」
「当たり前って何だよ」
「あいつ等は従姉弟だ。その上従姉弟の中でも特別相性がいいらしい」
「え!?俺聞いてないんだけど」
「ツナ・・・私一番最初に言ったよ」
「すみません十代目。俺が確りと紹介しなかったばかりに!」

リボーンに聞いてなかったのかと殺気混じり銃を突きつけられ、 冷や汗をかくツナ。

「“白夜に見えるは己の影”」

助け舟とばかりに話題を逸らす。
ツナとリボーンには伝わった様だが、 獄寺にはさっぱりだった。

「うん。任務ご苦労様」
「あ、あのう十代目」
「ん?獄寺君は知らなかったんだっけ。には敵のファミリーのハッキングパスワードを探ってもらっていたんだ」
「ハッキングは出来ねえが、情報収集能力はずば抜けているからな」

「明日、明々後日には本格的に行動しようと思うの」
「奴らは結構強い、用心しろよ」
「全く、ツナもリボーンも心配性なんだから」

ふふふと笑うだが、2人の顔は浮かない。
唯、隼人だけは私の頭をクシャクシャと撫で、怪我すんなよと笑ってくれた。





「ところでボス。 私、今月は骸に休暇を取らせないでって土下座して頼んだよね?」
「はあ?お前土下座したのかよ!?」
「え!?土下座!?してないよね!!」
「・・・実際にはしてないけど、そういう心境で」
「それ、したって言わねえよ!」
「骸には休暇はやってねえぞ」

一冊のスケージュール帳を出し、確認する。

「仕事の量を考えてもそんな暇ない筈だけど」
「でも現にクリスマス休暇取れたってメールがきたんだけど」
「「「・・・」」」

「大丈夫、骸には俺からきつく言っとくから」

何時も何処か頼りないツナが、頼もしく見えた瞬間だった。
そしてニッコリと微笑むツナに、 やっぱりツナ派癒し系で系癒されたい時はツナに限ると暢気に考えていた。
ツナの腹黒い裏の顔に気づかずに・・・。



宜しくと言葉を残し部屋を出る。
完全防音で聞こえる筈のない話し声が聞こえるような気がした。





「獄寺君」
「はい!何ですか十代目!!」
「骸に仕事終わらせないで勝手に休暇をとったら、一生には会わせないって言っといて」
「は、はい」

ツナの後ろには黒いものが漂っていたとかいないとか。
後で隼人に聞いてみても、顔を青くし目を逸らすだけで何も答えてくれないのだ。
またリボーンも顔は青くしないが、何も話さない。
だが話さなくてもその態度が真実を物語っていた。