Melanchoil Love
恭弥はちゃんとやってくれるだろうかと不安に思いながら廊下を歩いていると、 前方に大量の洗濯物を持った京子ちゃんの姿が見えた。
急いで駆け寄り、声をかける。

「京子ちゃん、手伝うよ」
「あ、ちゃん。ありがとう」

にっこりと微笑む京子ちゃんは可愛いかった。
こういう子だったら、追いかけたくなるのも分かるんだけど・・・。
何で奴は私に固執するのか、不思議でならない。

「ねぇ、京子ちゃんは恋とかってした事ある?」
「あるよ」
「え!?あるの?」
「うん。はないの?」
「・・・うん。だから恋とか付き合うとかよく分からなくって」
「そっか。もしかして骸君のこと?」

京子の言葉にピックと肩が跳ねる。
首をギギギと動かし見ると、相変らずとてもいい笑顔な京子ちゃん。
心なしか黒い靄が見える様な気がして冷や汗を掻いてしまい 違う意味でも、どもってしまう。

「ち、ちちち違うよ」
「ふふふ」

ちょっその笑い、信じてない!?
・・・ああ、もう何言っても駄目そう。
はぁと溜息を一つ吐き、目を逸らした。


「骸君はちょっとあれだけど、の事を本当に好きなんだよ」
「・・・」

ちょっと?
如何見てもちょっとじゃないよ!
それに、好かれているのは分かっているんだけど・・・正直言って重い。

「骸君ちゃんの前だと凄くいい笑顔するもの。愛だね!」
「・・・愛」

う〜ん、何時も笑顔な気がするし、 ナッポーの愛なんていらない!
ストレス発散と言う名の拳を付けて送り返してやる。
あ、触ったら腐るから銃かな。
と言うかあれは愛?
一種の虐めじゃないの?
まあ、千歩譲って愛だと仮定しても・・・

「私にとって憂鬱な愛だよ」
「憂鬱な愛?」

キョトンとしてしまう京子。
それもそうだろう。
憂鬱な愛だなんて聞いたことないし、普通は言わないのだらか。
の後ろからやってきたハルが興味津々といった風に聞いてくる。

「憂鬱な愛って何ですか?」
「嫌な愛」

突然声をかけられたにも関らず、驚きもせず即答する。
ハルも一般とは違う感性の持ち主だったが、 京子同様キョトンとしてしまう。

「二人とも知らなかったの?常識だよ?」
「そうだったんですか。ハル知りませんでした!」
「へぇ〜私も知らなかったよ!」

うんと頷き、勉強になったねと喜んでいた。
決して常識ではないのだが、天然な二人はの言うことを信じてしまったようだ。
此処にまたによる被害者が二人・・・。










「今から任務で遠くまで行くんだけど、お土産何がいい?」
「遠いんだ・・・。気をつけてね。お土産はシュークリームがいいかな」
「任務ですか?頑張って下さい!!お土産は・・・何でもいいですよ」

優しいな。
何時も心配してくれる二人。
嬉しいけど、ちょっと恥かしかったりして心が温かくなったりする。
これが幸せって言うのかなって最近思うようになった。
教えてくれたのは二人じゃなく意外な奴だったけど、二人には感謝している。
気づかせてくれたのは二人だから。

「心配してくれてありがとう。頑張ってくるね!」

笑顔で言うとクルッと後ろを向き、ボンゴレアジトの出口に向かった。
二人と出会う前と違っての足取りは軽かった。





「京子ちゃん如何したんですか?」

不安そうにの背中を見る京子を見て不思議そうにするハル。
京子は手をギュッと握り締め、息を吐く。

「少し嫌な予感がしたの・・・ちぇん無事で帰ってくるよね?」
なら大丈夫ですよ!!」
「うん」

頷くも、まだ不安そうな様子を見て、 京子の握り締めた手を包み込む様に握った。

「ツナさんが認める程強いんですから、絶対大丈夫ですよ!」

マフィアの世界に入って絶対なんて在りえないと散々思い知らされて分かっていが、 ハルはまるで自分に言い聞かせる様に言った。

「絶対大丈夫です」
「うん、そうだね大丈夫だよね」

必死になっているハルを見てにっこり笑い、祈るように呟いた。

ちゃん、私達は信じて待ってるから無事で帰ってきてね」