「プリーモ、セコーンド、テールツォ、クアールト、クイーント、セースト、セッティモ、
オッターヴォ、イーノ・・・・・・そしてデーチモ」
ボンゴレリングと言われるリングを見、口を歪める。
だが彼女に目には唯々リンクが映ってるだけで感情の色は見えない。
「これまた大変。無事には手に出来なそうだよ。近々なるであろうボンゴレ]世」
「くれぐれも僕を後悔させないでよね」
はリングが然るべき人に渡るように、然るべき人に渡す準備をするのだった。
「それにしてもボンゴレリング以外にリングが
・・・一つ、二つ、三つ・・・・何れも持つべき者じゃない」
如何するべきかと思案するが、中々いい案が出てこない。
今は争い事をしたくないだったが、リングから伝わる力からは迷う余地はないという事が窺えた。
仕方ないのかもしれない。
なんせ今回はリングを持っているのは気性が激しい者ばかりで、間違った使い道ばかりされている。
「始末するしかない」
考えはまとまったとばかりに、そさくさとロングコートを着込む。
レースがふんだんにあしらわれた白いワンピース。
その上に羽織るは、黒いシンプルなロングコート。
膝上のスカートをすっぽりと隠しており、
激しく動いたときしかチラリとも白い生地は見えなようになっていた。
靴は細い10cmもあるピンヒールのブーツでこれもまた黒。
ロングコートを着たの出立ちは全身真っ黒。
の行動を考えると、闇に紛れる漆黒の衣装は好都合なのだろう。
一方ロングコートの中に着た白いワンピースは人前に出る際に便利なのだろう。
こんな風に
1.3つの指輪
がやがやと煩い大通り。
コートを脱ぎ白いワンピース姿のは30代であろう一人の女に声をかける。
「ねえ、そこのお姉さん」
「ん」
「ちょっと聞きたいんだけど」
「何?」
「そのリング誰から奪ったの?」
リングと言う言葉に女は酷くうろたえた。
尚もはからかうかの様に笑いを含めた声で聞く。
「それとも奪えなくて盗んだの?」
「っ!?」
物騒な言葉とは裏腹に、両手を後ろで組み首を傾げる。
周りからあの子可愛いねという言葉が聞こえる中、女はの仕草に恐怖していた。
その為あげようとしていた怒号も、唾と共に飲み込まれてしまっていた。
おちゃらけた口調も手を後ろで組む仕草も余裕がある者がする事だと、
マフィアという世界にいる女には分かっていた。
リングをある男から奪い自分は強いと過信していた矢先の事。
今までに会った人はいくら強者でも、隠しても滲み出るものがあった。
しかし少女からは気配も力も何も、存在すら感じない。
だからこそ恐ろしい。
気を抜けば手足が震えそうになるのを抑えるので一杯。
すっかり恐怖に囚われてしまった女を見て、マフィアのくせに情けないよと零す。
その言葉に唇を噛み締め悔しそうに、の瞳を見る。
覚悟したように手をぎゅっと白くなるほど握り締めて拳をつくり、に殴りかかろうとしたが攻撃は届く事はなかった。
「ブッブー。残念時間切れ。折角待ってあげたのにねえ」
「キュー」
何処からともなく現れた白く可愛らしいオコジョうんと返事をするかの様に鳴いた。
はその反応に満足げに笑い、頭を撫でてやる。
「まあ、動きも遅かったし結果は同じだっただろうけどけどね」
「キュー」
「ん?だってこの女、此処でドンパチしよとしてたし、一般人でも平気で殺す奴だよ?
目的の為だったら何でもする女を野放しには出来ない。
ましてやボンゴレの敵じゃね。
記憶を消したって同じ事を繰り返すに決まってる。消すしかなかったんだよ」
言葉通りそこには女の姿は跡形もなく、
まるで最初から存在してなかった様に人一人が突然消えても周りの人も気に留めなかった。
はふわりとワンピースを揺らし、闇と同化するようにとけていった。
「あはは、弱いわね。もっと強い奴いないの?」
狂った笑い声をあげ人を殺す女。
辺りは酷い惨状であちこちに首やら手、足などの体の一部が切り刻まれ転がっていた。
「ねえお姉さんは人を殺すのが好きなの?」
「あらお嬢ちゃん、こんな所で如何したの?」
「僕の質問に質問で返さないでくれない」
「こんな所に来るっていう事は、私に殺されに来たのかしら?」
「会話になってないんだけど」
会話をする気がさらさらない女はの話などは聞かず、自前のバタフライナイフに付いた血を舐めていた。
呆れてため息を吐くと共に消していた殺気を放ち、女を追い詰める。
にとっては少量だったが、女にしてみれば十分過ぎる程だった。
「・・・お嬢ちゃん強いのね」
「そう?僕にとっては強さや力なんてどうでもいい事だよ」
それは強い力を持っているからこそ言えることで、
女にとっては羨ましい限り。
野生的勘で瞬時にには勝てないと分かってしまったが、
強い相手を目の前にして戦わずしてはいられない女だった。
恐怖で固まっていた体を叱咤し、バタフライナイフを構える。
「お嬢ちゃん戦いましょ」
「まったく血の気の多いお姉さんだな」
呟きながらも構える様子もなく、
強い殺気とは反対に隙だらけの。
その様子に焦るのは女。
「まだやるの?」
息切れが酷く答える事も出来ない。
はさっきの位置から一歩も動いていない。
もう戦うという次元じゃなかった。
これは最早遊ばれているといった方がいいだろう。
は攻撃もするどころか一歩も動いていないのだから、
女にとっては遊ばれている感覚。
「降参よ。はあはあ、降参。もう煮るなり殺すなり好きにして頂戴」
「ん?別にお姉さんを殺すのが目的じゃないんだけど・・・まずそのリング頂戴」
素直にはいとリングを外し渡す。
は受け取り、お姉さんを如何するかと悩む。
「いらっしゃいませ」
ファミレスに入り直ぐキョロキョロと周りを見渡す。
一人の男に目を留め、口元を緩める。
男はと目が合うと愛想のいい笑みで近寄ってくる。
「お客様ご注文はお決まりになりましたでしょうか」
どうやらが注文をするのに見ていたと勘違いした様だ。
射抜くように男の目を見、微笑む。
「お兄さんがしているそれ頂戴」
「それですか?」
「うん、それ」
「それでは分かり兼ねますが」
「もう鈍感だな。リングだよ。リ・ン・グ」
さっきと打って変わって低い声で囁く。
男は驚くも、直ぐに余裕の表情になりニヤリと口を歪める。
素早く銃を出そうとするがに手首を捕まれてしまう。
「そんなの出したら大騒ぎになるよ」
「かまいやしない。見た奴らは全部消せばいい事だ」
一変して冷ややかな口調で言い、手首を動かそうとするがに掴まれていてびくりともしない。
それどころか徐々に力が増していき、ミシミシという音が聞こえる。
男の力で振りほどけないどころか骨を折られては堪らないとばかりに顔を歪め、
声を荒げようと口を開けるが何故か言葉が出ない。
「クスクス、お兄さんと違って僕は騒ぎを起したくないからね」
口調では極めて冷静さを装っていたが、
心の中では怒りに満ちており行動にも出ていた男。
男は何百と修羅場を潜り抜け、何十人とものマファイアを一人で消してきた凄腕の殺し屋だった。
そんな男が今始めて、たった一人の少女に戦慄した。
でも此処で引くわけにはいかないと、反対の手で少女を殴ろうとするが此れも少女の手によって阻まれる。
「ねえ、僕もお兄さんでもう3人目で疲れてるんだ。
これ以上抵抗しないでリングを渡してくれればお兄さんに害は与えない。
ね、取引しよう」
「・・・」
「頭がいいお兄さんは、分かるよね」
生きるか死ぬか選べて言われてるもんだ。
最早選ぶ余地もない。
「3人とも激情家だったけど、お兄さんが一番賢いよ」
忍び込むは中学。
一人の少女が校舎の前で佇んでいた。
現在は夜中の2時。
子の刻という意味ありげな時刻に来た少女は目を細めて校舎を見上げる。
「黒曜中」
「・・・運命か」
「ついに並盛と黒曜が交わる時がきた」
呟くと共に少女はロングコートを翻し黒耀中を去った。
後に残るはシンプルなリングと所々に散らばるリングの欠片。
3人から回収したリングはの手によって砕かれ黒曜中に分散されたのであった。
リングは時を隔てて、有るべきところに納まる
だがそれはまだ先の事
Tre anelli