「あ、マリア明日から中学校に通う事にしたから」
「はい、分かりました」
はいくつかの指輪を磨きながら、さも今思いついたかの様に言う。
行き成りの発言にも慣れているのか、
マリアと呼ばれたメイドは淡々と答え元の作業に戻って行く。
一連のやり取りを見ていた執事であるラルは、
軽くため息を吐き諫める様に言う。
「様、その様な事は速めに言って下さい」
「今思いついたんだよ」
「いえ、嘘ですね。様が私達に言う場合は年蜜に計算され、
昔から計画されていた事です」
「クスクス、まだ短い付き合いなのによく分かってるね」
「短いって言っても、あの指輪騒動から5年ですよ」
「あれ?もうそんなに経ってるんだ」
「様と出会い私達3人の人生変わりましたからね」
を熱い眼差しで見つめ過去に酔いしれていた。
「僕はあの時、
面倒だからリングに関らなければ記憶を消すのは勘弁してあげるって言ったのに君は、
そんな事より僕に置いて下さいって」
「私はあの時様に魅入られてしまったんです。きっと2人だって同じですよ」
「あのまま新しい人生を歩めばよかったものの、
自分の名前を捨ててまでついて来るなんて馬鹿だね」
「そうね私も魅入られたのかもね。それにあの時ちゃんについてかなかったら私は・・・」
ソファーで寛いでいた妖艶な美女セツはふふふと怪しく笑うと、
マリアに貴方はどうなのと問う。
「私ですか?
私は紅 麻莉亜という存在を消していただいて感謝しています。
正直あんな世界で生きていくのは辛かったんです」
「でも今も昔と比べてたいして変わらないんじゃない?」
「いえ、全然違います。主に様のお世話で、人を殺したり殺されたりと
毎日ビクビクとしているわけではありませんから。
そして私には大切な主と・・・頼れる仲間ができました。
それだけでも私の心境は弱かったあの頃とは違います」
「・・・そう。君達が僕についてきて後悔してなければそれでいいよ」
3人は微かに微笑み、目尻を赤くし目を伏せてしまったを温かい目で見守る。
2.中学
「 です。よろしくお願いします」
にこにこと笑みを浮かべお辞儀する。
皆の人形の様に整った容姿にがやがやとざわめきたっていた。
「じゃあ、席は窓際の一番後ろ六道君の隣ね」
髪を上で纏め上げびしっとスーツを着込んだ女性、
30半ばであろう教師が空いた席を指差した。
目を向けると骸のオットアイと目が合う。
それも一瞬ではゆっくりと席まで歩き骸の前に来ると、
花が綻ぶ様な満面の笑顔で話しかける。
「よろしく六道君」
「クフフ、こちらこそよろしくお願いします」
クフフという笑いにの眉がピクリと動いたのを骸は見逃さなかった。
気づかれたことに機嫌を悪くし、心なしか骸を見る目が鋭くなる。
2人ともにこにこしているが、只ならぬ雰囲気を醸し出していた。
骸とのやり取りもひと段落し、席に座ると気づかれないように彼に意識を向ける。
六道骸。
エストラーネオファミリーのモルモットだった彼はファミリーに牙を剥き殲滅した。
その後捕まるも刑務所を脱獄し日本の黒曜、此処に逃げ込む。
現在、黒曜中にのんびりと通い何かに備えているもよう。
中々波乱万丈の人生を送っている彼は、少しでも長くこの平和な時を過ごして貰いたいもんだ。
と思うだが彼女も穏やかとは言えない壮絶な人生を歩んできている。
唯、彼と違うのは歩んできた時間が桁違いだという事。
その経験の多さによりには余裕があった。
一般人では気づかない程の微量の殺気も、無反応を貫き通す余裕。
骸は殺気を送っても反応をしないに首を傾げる。
目が合った時は確かに不思議な雰囲気がしたのだがそれも一瞬の事で、
その後のやり取りクフフという笑い声に反応した時などは、
只ならぬ雰囲気を醸し出していたが嫌な感じはしなく唯単にこの独特の笑いが気に入らなかった反応で、
声普通の子といった感じだった。
だからと言って一瞬でも可笑しいと感じたのだから、警戒は怠らないが面白い存在だ。
関係ないのであればこの件に巻き込みたくはないが事を起す時に一緒に、傍にいて欲しいと思ってしまう。
この件が終わってからでは一生会えなくなってしまうかもしれなから。
なんせ相手は仮にもイタリア最大のマフィア、ボンゴレ10代目。
目にの姿を焼き付ける様に、横目になりながらも見つめる。
あれが六道輪廻侮。
色々と厄介で中々侮れない。
それにしてもこんな教室の中で発動一歩手前にするなんて、
一般人何かどうでもいいという事なのだろうか?
少しの間でも仲良くしていきたいと思ったけど無理なのだろうか。
まともに学生気分を味わいたかったのに。
僕の穏やかな時間は短い。
以前学生生活をしたは何時だっただろうか。
流れ往く雲が時の流れを感じさせる。
僕の時間は永久。
HRの終わりを告げるチャイム。
先生が出て行くと同時に大勢の生徒に囲まれる。
好奇心一杯に目を輝かせ聞いてくることは、
変わった瞳の事や住んでいた場所の事。
それに対して笑みを貼り付け、あとさわりのない返答を繰り返す。
にとって穿鑿されるのは嫌いだったし、
面倒なだけだと思っていたが気づく者はいない。
隣に座っていた骸はが生徒達に群がられる前に、何処かへ消えていしまっていたから。
群れるのが嫌いなのか、
それとも私と同じ空間にいるのが嫌なのかと消えてしまった骸が気になっていた。
短い休み時間が終わり授業に入った。
だが未だに骸は姿を現さない。
本格的に嫌われたとため息を吐き、携帯に目をやるとメールが数件。
何れもマリア達からだった。
滅多にメールをしない3人が揃いもそろって一斉に連絡をしてくるなんて、
いい知らせなわけがない。
憂鬱そうに窓の方に首を向け空を見ていると、
門のとことに一人の男が立っているが見えた。
よく見なくてもには直ぐに分かった。
バトラー服に身を包んでいる何時も違い、ラフな服装のラル。
よっぽどの事がなければ僕の行動先に現れることのない彼が来たという事は、
切羽詰った事態になったかあるいは自分達では対処できないと判断したかだ。
どちらにしろ早く彼らに接触しなければいけない。
とその前にと携帯のメールを先生に見つからない様に素早くチェックする。
やはり用件は自分達では判断しかねるから僕の意見を仰ぎたいと言う事だった。
はさっと手を上げ先生を呼んだ。
「転校初日で緊張して気持ち悪くなってしまったので、保健室に行ってもいいですか?」
苦しそうに目を伏せ弱々しい声で言うに先生は優しく接する。
「かなり辛そうね。何なら今日はもう家に帰ってもいいわよ?」
「でわ、お言葉に甘えて」
いそいそと鞄に教科書やノートを入れ帰る準備し、
屋上を気にしながらも颯爽と教室を出て行く。
「クフフ」
いきなり笑い出した骸を千種と犬は異様な者を見る目で見、少しずつ後ずさりしていく。
「骸様怪しいれす」
「・・・めんどい」
自分の世界に入っている骸には2人の声も届かない。
何時もの事なのか2人はお互い頷き合い、屋上を去っていく。
「クハハハハハ」
屋上には骸の変な笑い声が寂しく響き、事の他遠くまで聞こえた。
「様、及び立てして申し訳ありません」
「ん、いいよ。さっさと用事済ませちゃおうか」
「はい」
「・・・・・・・・・」
耳がいいはクフフやクハハという異様な奇声が聞こえ黙り込む。
眉を顰めて一気に不機嫌になる。
そんな様子に困惑気味に声をかける。
「様?如何かしましたか?」
もはや口にも出したくないのか、首を横に振るだけだった。
こんな風に穏やかに過ごせるのは残りほんの僅か
Liceo minore