闇に転々と咲く赤い花。
血で赤く、赤く染まる。



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大きな黒く怪しい屋敷。
壁には蔦が絡まり、廃墟の様な建物だった。
そのくせ庭は無駄に整っており、色とりどりの花が咲き乱れていた。
この屋敷には、昼も夜も関係なく花が咲き乱れる。
まるで狂っているかのように。



そんな近寄りがたい屋敷に一歩踏み入れる為、鉄の大きい門を開ける。

ギギギギギ

見た目通り重く、錆びていてギリギリ人一人分入れるかどうか、という所までしか開なかった。
これ以上無理に開けることはないと判断し、仕方なく隙間をスッと進入する。
庭には一本の道があり、玄関まで続いていた。
玄関にたどり着くと、まるで誘っているかのように開いている扉。
その扉を気にするでもなく、一つの部屋を目指して歩く。

カツンッカツンッカツンッ

居場所を知らせるかのように、音を響かせて歩く。
酷く長い廊下を歩きやっと目的の部屋の前にたどり着く。
戦闘態勢で扉を開く。
予想していた通り、その部屋に百、二百の人が犇めき合っていた。
何か会話をするでもなく、瞬時に暗殺に取り掛かる。



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何時間立っただろうか。
何十人殺しただろうか。
後どのぐらい殺せば終わるのか。
感覚が麻痺してきて、全てが分からなかった。
人を一人殺すごとに、何かが消えていく気がした。
ポタリ、ポタリ
と滴り落ちる血と共に消え逝くもの達。
記憶化か、はなまた感情か……其れは誰も知らない。
知ることなく終わる現実。



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「骸……」
「全く貴方って人は。如何してこう自分勝手なんでしょうね」
「ごめん」
「ごめんで済んだら警察はいりませんよ」
「だって私の生きる目的はこいつ等を殺すことだった」
「えぇ、知ってました」
「……目的が達成できれば、死んでも構わないと思ってた」
「……」
「でもある人に会って私は変わった。私はその人に愛するということを教わった」
「クフフ。『そして、その人に恋をした』」
「うん」
「その人も貴方に会って変わりました」
「えっ」
「何を犠牲にしてでも守りたいものが出来たそうですよ」
「でも……」
「その人の意思を尊重した結果、結局守れませんでしたけどね」
「ごめん」
「謝らなくていいんですよ。私が勝手に思ってたことなんですから」
「有り難う」
「そうその顔、の満面の笑み。ずっと見たかったんです」
「笑うのが苦手だったからね」
「そんなも好きです」
「私も大好きだった。だから最後に我侭言ってもいい?」
「勿論です」

「愛する骸の手で殺して
一人じゃ寂しいの

「貴方の望みなら、私の手で殺し、私も一緒に死にましょう
だから安心してください。何処までもずっと一緒です。




決して貴方一人を死なせない

私達は何処までも一緒