密会
白く透き通る肌。漆黒の長い髪。人形のように整った顔。そして青く大きな目。
人間離れした少女は微笑しながら目の前の男を、見定める様に見ていた。
「いいよ。その代わり僕は自由にやらせて貰うよ」
見た目と合わない一人称を使い、長い睫を伏せた。
「それで構わないよ。くれぐれも頼んだよ」
男は少女をまるで娘を見るかのように見つめ、紅茶を差し出した。
「君のいやお父様と言った方がいいかい?」
目を軽く開けからかう様な声で紅茶を受け取って聞いた。
「聞かなくても分かっているでしょう?まったく貴方は意地が悪いんだから」
男は明らかに少女を自分より上に考えてるような口ぶりだった。
「はぁー。君だって僕に敬称付けてるじゃないか」
優雅に紅茶を飲みながら困った子を見るようにやれやれと肩をすくませた。
「今はまだ「大変です。9代目!!」人払いしたはずだが?」
鋭い目で血相を変えて入ってきた部下を睨んだ。
人払いし、『何があっても近づくな』と命令してあるはずだった。
「すっすみません」
部下は驚きと恐怖で顔が引きつりながら謝った。
9代目と呼ばれた男は滅多な事では怒らないで有名だった。
そんな男が鋭い目……怒っていた。
「ふふふ」
この場に不似合いな笑い声が響き、場の雰囲気がガラッと変わった。
男がさっきとはうって変わって『しまった』という顔をしていた。
もう2度と会うことおろか話すことが出来ないと思っていた少女。
話の邪魔をされたくなかった。
実は少女のことはまだ誰にも見せたくなかった。
そして少女にこのことを知られたくなかったのだ。
今後の計画もあるが、今の姿……
部下はというとほっとしたと同時に驚き固まっていた。
「忙しい様なので、これで失礼します」
口調をガラッと変えて、そさくさとドアから出て行った。
残された2人ははっとして直ぐに上司と部下の顔に戻った。
「くっくっく。まだまだ若いね。さて歯車は回りだした。運命は残酷でいて―――すべては必然」