謎の転校生














今日は朝からいつも以上に騒がしかった。
なにやら転校生が来るようで、『美人』だとか『どっかのボスの娘』やらいろんな憶測や噂が飛びかっていた。
そんな中珍しく遅刻しないで来た、スクアーロはご機嫌だった。
そうでなければ今頃は、暴れていただろう。













≪今日はラッキーだったなぁ。煩いば…お袋が出かけて帰ってこない!!≫
スペルビ家の母は気まぐれで、笑顔で包丁を投げてくる恐ろしい人だった。
そんな母を怒らせると……なのにいつも怒らせてしまうスクアーロにとって何より嬉しいことだった。
語尾が普通になるぐらい。
そんな裏事情があるスクアーロは思わず鼻歌を歌い出しかねないぐらいニヤニヤしていた。
皆気持ち悪がって、遠ざかろうとした瞬間……
教師と1人の少女が入ってきた。










長い絹の様な金髪の髪。
緑がかった青…碧の瞳。
長い睫。
繊細に整った顔。
白く透き通った肌。
そして何より歳のわりには上品な物腰。
これらを全て持った少女は綺麗でいて可愛いかった。
今まで騒いでいたのが嘘のように、教室の中は静まり返り皆少女に釘付けだ。
先生がボーとしている生徒達を座るように指示すると、生徒達はノロノロと席に着いたが、まだ少女はクラスの中の視線を浴びていた。
少女はそんな様子も、ものともせず先生に言われる前に口を開いた。
「転校生のです。宜しくお願いします。」
綺麗な声で微笑んでいたので皆好印象だったに違いない。
ただし1人を除いて。












≪あいつ……目が笑ってないぞぉ。しかも綺麗過ぎて人じゃないみたいだなぁ≫
「席は一番後ろのスペルビ……銀髪の男―――の隣だ」
「う"お"ぉい!!!聞こえてるぞぉ!!」
「教科書とかはに見せてもらえ」
「う"お"ぉい!!!何で開き直って鮫を強調してるんだぁ!!!鮫じゃねぇ!!!」
「まあ、叫び声や語尾が煩いが我慢してくれ。態度や口が悪く、さらに顔も凶悪だが、根はたぶん・・・良い奴だ!!
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
もう返す言葉もないらしい。
生徒に負けず劣らず、先生はスクアーロを黙らせるほど濃いキャラであった。
≪最近扱いが酷いと思うのは俺だけかぁ≫
機嫌が良かったスクアーロだったが、先生とのやり取りでゲッソリしていた。









≪クス。面白いクラスね。でも強いのはあの鮫?って言われていた彼だけね。彼もまだまだだけどね≫
笑顔の裏ではクラスの人達を観察していた。












「宜しくね」
は自分の席に行き隣のスクアーロに挨拶した。
「…あぁ」
≪やっぱり目が…。それにしてもこいつ全然強そうじゃないなぁ≫











HRが終わり先生が教室から出て行くと、ばっとの周りにたくさんの人が集まってきた。
転校生はいつも注目の的。
皆興味津々だ。
情報収集を目的とした にとっては好都合であったが、正直何故ここまで転校生に群がってくるのか疑問に感じていた。












≪ふふふ。これから楽しくなるわね。私ももう少しキャラ崩そうかしら?≫