誕生日という日
「真弘って誕生日いつ?」
「ああ?誕生日か。確か今日だ」
「はぁ?ちょっと早く言ってよ!」
「俺だって忘れてたんだよ!!」
「普通自分の誕生日忘れる?」
「仕方ないだろ。ババ様から生贄にされるだけに生かされてるって聞いたて、誕生日が来なければいいと思ってたんだから」
真弘は封印の生贄とされて幼いときから、前玉依姫ことババ様にこの事を教え込まれていた。
逃げ出せば、祐一や拓磨、大蛇など皆が殺されると脅され逃げるに逃げ出せなかった。
厳密にいうと1回逃げ出したことがあった。
村の皆総出で村中を探すという大騒ぎになり結局見つかり、その折に逃げ出せばどうなるかということを言われたのだ。
とても恐ろしく、諦めという言葉しか頭に浮かばなかった。
それから真弘は誕生日=死が近ずくという方程式になってしまい、その日が来るのが恐ろしかった。
その為、歳どころか誕生日も忘れようとし、最近では本当に忘れていた。
「そっか。でももうあんな悲劇は終わった。だから一緒に歳をとっていこう?」
「ああ、そうだな。、俺様と一緒に歳をとれることを光栄に思えよ」
「ふふふ。今回プレゼント用意できなかったから、明日手作りやきそばパン、パーティーってどう?」
「お、いいな。絶対だぞ!」
「うん。絶対」
「でも此れだけは今日言っとくね」
「誕生日おめでとう!そして生まれてきてありがとう!!」
悲しき日から嬉しき日に