忠犬
「あ、獄寺君」「さん!」私を見つけると全力疾走でやってくる獄寺君。
彼は弟の右腕になりたいらしい。弟は将来ボンゴレ10代目になる男で、今はまだ可愛いのだが、これからどんどん強くなってかっこよくなっていくだろう。
そんな弟の右腕になるべくして、一生懸命尽くす彼。その姿はまさに忠犬ハチ公。
そして弟の姉である私に対しても、素晴らしい忠犬ぶりを発揮する。もう下僕ではないかと思う節もある。
決して私は女王様趣味ではない。だがそう見られがちで困ったもんだ。
彼に普通に接してっと言ってみたが、相当無理して頑張ってくれたが……痛々しくて見てられなかった。だからもういいよと言ったら…
最終的には彼に泣きながら土下座されてしまった。人前で恥かしい。つい止めてくれっと弟と一緒になって叫んでしまったのは仕方のないことだろう。
直すのは無理だった。いや、直そうとすること自体が無謀だったのだ。仕方ない、慣れるよう努力しようかと弟と相談したが、弟は慣れたくないようだった。
……そういいつつも、適応性の高い弟のことだから時期に気にならなくなると思う。でもそれに慣れっちゃったら、お仕舞いだだと思うのは私だけか?
さて、弟と私には是対服従な彼だが、他の人にもそうなのかというと勿論違う。彼は世でいうツンデレらしいが。彼以外のツンデレに会った事がないから、本当の所分からない。
友達に聞いてみたが、その話になると何故か興奮して、早口になり専門用語らしきものをバンバン使うので、よく分からなかった。聞く相手を間違えたか?
兎に角、ツンデレは萌らしい。此れしか分からなかったのもどうかと思うけど、普通の人にツンデレとは、何て聞けない。
昔、メイド喫茶とは何か聞いたら…引かれた。聞いちゃいけない事だったようだ。何がいけないのかサッパリだ。
話が大分脱線してしまったが、彼、獄寺君は自分が認めた相手以外には態度が悪い。タバコも吸っているし、まさに不良。あ、私の前では気を使って吸ってないけどな。
わざとやっているのかとさえ思うことがあるが、接してみると不器用ながらも優しい面もあるのが分かる。
もっと分かりやすくすれば、友達も出来るだろうに。本人は要らないと言ってるが、中学生と言えば青春。青春と言えば友達。友達なくして青春はできない!是非、獄寺君には青春を謳歌してほしい。
この話を例の友達に話したら…御前何歳だよと突っ込まれた。古臭い考えで悪かったな。
弟はというと順調に友達を増やし、青春を謳歌しているようだ。姉としては嬉しい限りだ。獄寺君もその仲間に入ってるよだけど、仲は悪い。
弟の様に思ってる私としては心配でしょうがない。今も隣に友達らしき人がいるのにほって、私の所に走ってくるのはどうかと思う。
「さん!今帰りですか?」「ああ。そうだ」「じゃあ、送ります」
可愛らしく尻尾を振る
忠犬ハチ公