こっそり、見てみようかと。
「やってるやってるvv」
あたしはひょこっと顔を出した。
目の前には音楽科の練習室。
そこで練習してるのは我が校の貴公子、柚木様。
相変わらず優雅なお姿。
こうやって柚木様の練習を見つめて(微妙にストーカーして)帰るのがあたしの日課です。
「ふふ〜やっぱりカッコイィ〜vv」
何の楽器やってるのか分からないけど(ぇ)カッコイィ〜vv
ふと、柚木様が演奏している手を止めた。
そして愁いを帯びた溜息を吐く。
・・・・どうしたんだろう?
あたしは心配になりすぎて、ドアのガラスにほっぺをくっつけて中を覗いてしまった。(ぁ
すっげぇストーカーっぽいことに・・・!!
もちろん、それに柚木様が気付くわけもな・・・・く?
バチッ (目が合った音(ぇ
・・・・目が合ってしまったよ・・・!!
しばらくあたしたちは見つめ合っていて、何か来るのかと思ってあたしは身構えた。
が、柚木様はスルーしやがった!!!
くるりと優雅に背中を見せると、また何か知らん楽器(ぁ)を吹き出した。
背中を敵に見せると危ないですよ!(何
「柚木様の馬・鹿v」
あたしはドアの外で呟いてみた。
バタン(ドアが開く音
「ちょっと来てくれるかな?」
彼は、笑顔であたしを練習室へ連れ込んだ。
「さっき、何をしてたんだい?」
ものすごく笑顔なんですが、柚木様。
ごめんなさい、後に魔王が見えます。
「柚木様、実は黒かったんですね。」
「ふふふ・・・幻覚だよ。」
ぅわぁ・・・結構無理矢理だよこの人・・・
「で、僕の質問に答えてくれるかな?」
まだ笑顔で問い詰めてくる。
こうなったら素直に言うしかないわ!!
「柚木様がピーヒャラピーヒャラしてるのを見てました!」
・・・。
・・・・・。
「・・・何だって?」
「どれだけ耳悪いんですか!だから、柚木様がピーヒャ ・・」
「僕は君の耳の解釈に驚きだよ。」
「だってそういう風にしか聞こえないんですもん♪」
「何か出てきそうじゃないか・・・」
「あぁ、蛇ですか。」
そう言うと、柚木様の表情が一変した。
・・・あぁ、これが素ですか。黒いなぁ・・・
「を抹殺しにね。」
「ふふふ・・・って誰でしょう?」
「胸に名札ついてるだろう?って。」
そう言って柚木様はあたしの胸ポッケを指す。
「あぁ、これ偽名・・・」
「嘘はいけないよ。」
「スミマセン。」
もうあなたの黒さには勝てませんですよ。(ぁ
「で、お前はストーカーなのか?」
沈黙の中、ぽつりと呟く柚木様。
「何ですかいきなり失礼な!」
「失礼?お前のほうが失礼だろ。」
そう言って柚木様は息を吐いた。
「あたしはただ・・・音に惹かれて来ただけですけど・・・」
あたしは、ちょっと俯きながら言う。
そうしたら、柚木様の眉毛がちょっと上がった。
「音?」
「そうです。何か綺麗だったから。来てみたら柚木様だった、と。」
「それで覗いてたのか?」
「はぁ・・・まぁ柚木親衛隊の隊員として覗きを・・・」
「そこはどうかと思うけどな。」
そう言って彼はあたしの方を向き直した。
「・・・・明日も聴きに来るのか?」
「・・・たぶん。」
「そうか・・・」
柚木様は、そしてちょっと笑顔を見せた。
「まぁ明日・・・お前に一曲、吹いてやってもいい。」
・・・音楽って素晴らしい!
人を、幸せにできるからね。
END
あとがき
紫姫さま、キリリクありがとうございました!
えー、2作目完成です!!
いかがでしょうか?
面白いギャグを書けたか不安です。
柚木夢は後輩視点からじゃないとダメです。
変なヒロインになっちゃってすみませんでした!!