「くそ!!」

俺は珍しく焦っていた。












 初恋













初めて好きな女が出来た。

まさか俺が1人の女をこんなにも好きになるなんて予想もしなかった。











1つ1つの仕草が俺を惹きつける

くるくる変わる表情を俺に向けてほしい

その小さな赤い唇で俺の名前を呼んでほしい

透き通ったその瞳に俺を映して――――――






























「シリウス遅いじゃないか!!」

「あっわり」

「さあ、愛しのリリーのとこに行くよ!!!」

待ち合わせの時間に遅れてきた俺をジェームズは容赦なく引っ張っていく。




ジェームズはリリーが好きだ。

異常なほどまでにだ。

女子寮に侵入したり(未遂)、尾行したり(ストーカー)、妄想したり(ヨダレを垂らしている)・・・etc

だが最近、変態じみてきて奇行にも慣れてきた。

・・・諦めもあるが。





「リリー!!」

「はぁー。ん?隣の女見たことないな」

「そうかい?最近リリーと仲良くなっただよ」

少女は綺麗で、それでいて品がありエバンスと並んでも引けを取らないほどだった。

寧ろ少女の方が俺には綺麗に見えた。



この時すでに俺は恋に堕ちていた




「そうか。んん?さっき何気にファーストネームで呼んでなかったか?」

「呼んだよ。とは友達なんだ。しつこく話しかけると返事くれるんだよ!!」

「は?お前それ友達っていうのか?」

「言うに決まってるじゃないか!!し・か・もリリーの話になるとも乗ってくれるんだ。

この前なんか2人で盛り上っちゃったよ!!!」

「そ、そうか」

ジェームズが興奮して俺の肩を掴んでいた。

地味に痛い。

おいミシミシいってるぞ。

どんだけ力を入れているんだ!!

ジェームズがリリー以外にこんな風になるなんてな・・・

俺も興味が湧いてきた。























それから俺はを目で追うようになった。





此れが恋だと気づいたのは、ジェームズからが「彼氏が欲しい」と漏らしていたのと聞いたときだった。

他の男とが―――――

と考えただけでイライラした。


渡したくない



頭にこの一言が浮かんだ。

俺はことが好きになっていた。























自覚して直ぐに、に話しかけてみた。

柄にもなく緊張して昨日から眠れなかった。

話しかける言葉もいくつも考えた。

しかし返ってきた言葉は感情の篭っていない、後触りない言葉だけだった。

エバンスと一緒にいるときとは態度が180度違った。

よく見ると瞳にも俺は映っていなかった。

俺は何かしただろうか?

嫌われているのか?


どうして




「くそ!!」

俺は珍しく焦っていた。

初めて好きになったのに俺を見てくれない。

それどころか、この世界に飽きような、つまらないような目。



俺はどうしたらいい?
























俺は気分転換に犬になって日向ぼっこをしていた。

幸運だった

此れほどまでにアニメガースになるとき犬にしてよかったと思ったことはなかった。





いきなり甘い甘い声がした。

迂闊だった。

こんなとこに来る奴なんていたのか。

しかも、恋人の名前の呼ぶかのような―――――

・・・・・ッ、!!!!!!!

なんで

しかもなんだその態度と声は!!

もう何が何だか。










すっかり気を許した俺はに背中を撫でられていた。

気持ち。

でもこんな近くにいると・・・・・・我慢だ。

悶々と考えているとが爆弾を落とした。

「ブラック」

き、気づかれた!!!

こんな姿知られたくない。



どうする俺。



  • しらばくれる

  • 開き直る

  • 正体を明かす




  • さあどうする?



    と正直真剣に考えていたが

    「おまえの名前、黒いからブラックて名前が呼びやすいかなって思ったんだけど」

    ふぅー。なんだ気づかれてなかったのか。

    確かに黒いからな。

    でも≪ブラック≫だとばれる可能瀬があるな。

    あらかさまにホッとしたからなのか

    「違う呼び方の方がいいかな?」

    と聞いてきた。

    もちろん俺は即答だ。

    「うーん。急には思い浮かばないよ。そうだ、明日も同じ時間に此処に来て!!それまでに考えておくから」

    ヨッシャー!!!!

    明日も会える!!

    犬の姿だけど。

    会えるんだから、もう何でもいっか。

    いきなりが俺(犬)に抱きついてきた。

    !!!!!!!!!!!!!!!!!

    俺は自分でも分かるほど真っ赤になってしまった。

    む胸が当たって!!

    はっ俺は何を考えてるんだ。

    今は犬・・・・・・・・。

    俺は犬・犬・犬・犬。

    とりあえず返事だ。

    「ワッワン」

    自分で言うのもなんだが・・・間抜けだな。

    俺は何をしてるんだ。

    自分が情けなく、空しくなってきた。





    でもと接点が出来た。

    今までの態度を考えれば・・・会えるだけでも収穫じゃないか。

    頑張れ俺。

    負けるな俺。

    犬を演じ(?)続けろ俺。























    そんなこんなで意外なことで接点を持った俺。