10000打記念!
□BooK4◆嫁の正体
14ページ/17ページ
「…私は、手伝う以上は妥協は許さないと言いましたね?」
「…言われた」
多少の台所仕事ができる、州牧室用の台所といった小部屋。水瓶や小さな竈があり、食卓になる大きめの卓子もある。悠舜はそこで、山積みの仕事に囲まれながら向かいに座っているに、お説教をかました。
「自分の仕事が終わっても、上司が次を振るまで終了の報告もせず仕事を取りに来ない行為を、あなたはどういう言葉で表現しますか?」
「……サボリ…」
「州牧室を美術館か何かと勘違いして、暇さえあれば他人の顔を眺め、仕事中も労力の半分は周囲の観察に向ける行為は?」
「………いい言葉が見つからな」
「不実な迷惑行為です、怠慢無礼な行動です。ついでに言うと、自分に対する妥協以外の何モノでもありません」
「…………」
「そうですね?」
「…うん……」
言いながらも、は憎々しげに目を細めた。全く新鮮な光景だったが、恐らくそのココロは、「全部龍蓮のせい」だ。さっきも自分の迂闊で悠舜たちに本性がバレたのに、龍蓮に難癖をつけていたし。
あなたはぶつかっただけで肩の骨が折れるやくざですか、と言いたい。
→次ページ
←前ページ
[戻る]