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□BooK4◆嫁の正体
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…私は、手伝う以上は妥協は許さないと言いましたね?」

「…言われた」

多少の台所仕事ができる、州牧室用の台所といった小部屋。水瓶や小さな竈があり、食卓になる大きめの卓子もある。悠舜はそこで、山積みの仕事に囲まれながら向かいに座っているに、お説教をかました。

「自分の仕事が終わっても、上司が次を振るまで終了の報告もせず仕事を取りに来ない行為を、あなたはどういう言葉で表現しますか?」

「……サボリ…」

「州牧室を美術館か何かと勘違いして、暇さえあれば他人の顔を眺め、仕事中も労力の半分は周囲の観察に向ける行為は?」

「………いい言葉が見つからな」

「不実な迷惑行為です、怠慢無礼な行動です。ついでに言うと、自分に対する妥協以外の何モノでもありません」

「…………」

「そうですね?」

「…うん……」

言いながらも、は憎々しげに目を細めた。全く新鮮な光景だったが、恐らくそのココロは、「全部龍蓮のせい」だ。さっきも自分の迂闊で悠舜たちに本性がバレたのに、龍蓮に難癖をつけていたし。

あなたはぶつかっただけで肩の骨が折れるやくざですか、と言いたい。


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