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□BooK4◆嫁の正体
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彼は、言うことを一度で理解し、素早く完璧に仕事をこなすから、悠舜はつい便利にこき使ってしまう。龍蓮自身も悠舜の言うことは比較的素直に聞く。秀麗や影月の顔をたてているのかもしれないが、それだけではなく、悠舜自身を認めてくれているらしい。
彼は噂に聞こえる天つ才。黎深と基本的に仕組みが同じだから、扱い易いのかもしれない。
そして、龍蓮がまた執務室に現れたこの日……悠舜は確信した。
よく観察してみれば、は、悠舜に言われた計算を飄々とこなしていく龍蓮に、明らかに見とれていた…。悠舜は俯いて自分の書類に目を移し、何故かこみ上げる衝動を抑えるよう努めて声を出した。
「………さん、起きてますか?」
「はい、起きてます」
「………さっき渡した記録照会は?」
「あ、今終わりました」
さっと立ち上がり、悠舜の机に寄って来る気配。そう、仕事の速さは悪くない、これくらいの速度でこなせるなら、官吏なら及第点をやれる……
(…ん?今、だと?見とれていたのに?)
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